2007-12-20 Thu 14:19
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2007-12-15 Sat 14:48
EIMさんの素敵な曲をお借りしました。名前は、たまたま、ぼっちゃマンのテーマソングのようですが・・・
![]() ![]() 右側のBGMをクリックしても聞けない場合はココファンシーベアー ![]() ![]() ![]() 駅を出て、イルミネーションに飾られた木々の下を、一人待ち合わせの場所まで歩いて行くと、正面に青く澄んだ海と真っ白いコテージが立ち並ぶ景色が見えてくる。 そこはいつも私の大好きな場所、憧れの国ローマを思い出させてせてくれる。 ヨットハーバーの前に建つ白い3階建てのコロニアル風な建物が待ち合わせ場所。建物の中にはお洒落なアンティーク風の店がいくつか軒を連ね、いつも沢山の若者や家族連れで賑わっている。 なかでも、可愛らしいサンタとトナカイをモチーフにしたオブジェばかりを扱っているお店に、心を奪われた。ゆっくりと見てみたいけど、そうも行かない。 今の時期は、あちこちから流れてくるBGMも 煌くツリーやイルミネーションも 心が浮き立たずにはいられなくなる。 冷たいけど、清清しい澄んだ空気と潮の香りが日常の煩わしさから一段と開放感を与えてくれる。 そう、今日はクリスマス イブ・・・彼と、二人で過ごそうと約束した日・・・ 午後3時を回って、どこから訪れるのか人々の流れは絶える事が無い。 私は、冷えた手に息を吹きかけ、こすり合わせながら3階建ての建物の中に飛び入るようにして駆け込む。 華奢なアイアンの手摺が美しい階段をブーツのヒール音を早いリズムで響かせながら一気に3階まで 駆け上がる。 オープンテラスの扉が開き、さっと潮風が頬を撫でてゆく。左右に立ち並ぶおしゃれな店の前の通路を通り過ぎると再び青い海が目の前に広がる。 イブなのに天気が良かった今日は、午後の太陽の光が海に反射し瞬くように美しい。 店の後ろはバルコニー仕様になった通路になっており、建物の中央に向かって進むと ややひらけたパティオに出る。 白く広い石作りの階段が丁度、人が座れるようになっていて、人々は海を眺めたり、軽食をとったり ちょっとした憩いの場となっている。 そこは、まるで映画、『ローマの休日』を思わせるような風景だ。 私も、ヒロインのオードリヘップバーンになった様な気分で、下のパティオを見渡せるよう上の段に腰を下ろした。 約束の時間までは、もう少しある。 行き交う人々の流れを眺めながら胸の中は弾んでいる。 バックから小さな鏡を取り出しては、ドレスアップした自分をチェックしてみたり・・・ なぜか落ち着かない・・・ もうすぐ彼に会える・・・ 何処から現れるのかな・・・ この日のために、お洒落した私を見てなんて言うかな・・・ その瞬間を思うと、じっと座っているのも もどかしい。 ふと、人の流れの中に見覚えのある顔が・・・。残念ながら彼ではない・・・ 確か・・あの面影は?同じ大学のサークルの先輩だ。私の心の中に、胸の痛みが蘇った・・・ 思いを告げられねままの片思いだったから・・・。 まさかこんな処で?思わず彼の姿を目で追う。彼は偶然にも私から少し離れた前の段に座った。 思わず『セ・ン・パ・イ』と可愛らしく声を掛けてしまった。 自分でも驚いている。先輩を好きだった頃、思ってることの半分も話せなかった、そんな私が・・・。 先輩が驚いたように振り返る。 私の顔を見ても思い出せずに怪訝な表情だったが、名前を告げると目を丸くして笑ってくれた。ふたり並んで懐かしい昔話に花が咲く。 こんな風に話せる時がくるなんて・・・先輩の事を一途に想っていた頃の幼い自分を思い出す。 でも今は、先輩を見てもドキドキときめく自分はいない。 先輩も彼女とクリスマスイブの待ち合わせをしていたようだった。 嬉しかった。先輩が幸せそうで・・・今は素直に心からそう思える。 時間を忘れて夢中で話しているとふと、どちらからか突き刺さる視線を感じた。 パティオの方からだった。 さっきまで、待ちわびていた彼が立っていた。ドキリとして心臓の鼓動が早くなり、頬が赤く染まり、体中が震えはじめるのを感じた。 慌ててバックから、鏡を取り出しても・・・チェックする余裕すらない。 彼は視線をそらし、立ったまま、バルコニーにもたれ、煙草を吸っている。 柔らかそうなベージュのセーターの前のジッパーは開き、下から濃い色のシャツが覗く。 くすんだ色合いのジーンズは彼の長い足を際立たせ、前で足を軽く交差させている。 二ット帽にサングラスの彼の顔はこちらを向いているようだが、目の表情までは分からない。 群集に溶け込みながらも、はっと目を奪われる程 彼から滲み出る侵し難い雰囲気は人並みはずれている。 今日は特別な日、周りはみなドレスアップしてると言うのに・・・・ 彼だけは,仕事柄のせいか、どんな服を着ても、モデルのようにスタイルがさまにっている。 彼の前を行過ぎるカップルの中には、彼の方に顔を向けたまま なかなか前を向けないでいる女性達が居る。 そんな、光景は見慣れている・・・ 私は、先輩に満面の笑顔を浮かべて軽い会釈をすると、白い石の階段を、彼のほうへ向かって弾むように駆け下りた。 先輩もまた、会釈をし、嬉しそうな笑顔の彼女を見て、こんなに見違えるほど彼女を美しくしたのは、奴だったのかと、軽くこぶしに力が入るのを感じた。 ・・・・・・ごめんね待たせて・・何時からいたの? 彼は短い挨拶で応える。 嬉しそうに話す私の質問には答えず 、無言で長い息をつくように煙を吐き出す。 急ぐようにパティオから離れると通路を歩き出す。早足だ。そのまま地上へ出る階段を駆け下りてゆく。 私は慎重に階段にブーツのヒールを運びながらも彼の後を必死で追った。 何処へ?何かあったの?・・怒ってるの? いつもそう・・・ 何も答えてはくれない。 私は、沈み行く太陽と、先ほどよりもっと色鮮やかに瞬き始めたイルミネーションを、楽しみながら手を繋いで欲しかったのに・・・ ちょっと立ち止まってスネて見せた。 やっぱり待ってはくれない・・・ 仕事で疲れてるのかな・・・前より少しやせたみたい。 不安な気持ちを抑えつつ、彼を追って付いて行くと、クルーザーや豪華客船の停泊するハーバーに着いた。 彼は海の際にある手摺まで歩くと腕をもたせかける。 再び煙草を取り出し両手で煙草を囲むように火を点ける。 なんて、カッコいいんだろ・・・タバコの匂い、嫌いなはずなのに・・・ なぜか、あなたのその姿を、見ているだけで全てを許してしまいたくなる。 吐き出された煙はすぐに潮風にさらわれ彼の前を勢い良く流れてゆく。 to be continued By yuki (ちょっとだけ ぼっちゃまん) 追記 これは、YUKIさんぼっちゃマンから、〇〇歳のお誕生日を、今日TDLで迎えている幸せそうな、ラブラブカップルばけちゃんへ捧ぐ・・・お誕生日おめでとう ![]() ![]() |
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